トリニティ時代のヴァナルガンド編決着。

やや女性向、サバジャンサバ。
パラレルワールド全開。ややグロイ表現アリ。

cast:ジャンゴ、サバタ、トリニティ、おてんこ、
&トリニティ時間軸のサバタ、ラタトスク。ヴァナルカント。






















































anothe end







「どこにいっていた?」

とかも不機嫌そうにボクを出迎えてくれたサバタ。

次の瞬間、ボクの顔を見てぎょっとして
「…何があった?」どこか心配の色を見せてくれたサバタ。



次の瞬間。
ボクは大声で泣きながらサバタにしがみついた。






















たとえ過去を捻じ曲げたとしても
トリニティが来た未来世紀は変わることはなくて


トリニティがした事はただ、
歴史の流れを分けただけ。



今ボクらが辿っている未来のトリニティが
過去に行く必要性はなくなって
(もしかしたら存在そのものがなくなってしまっているのかもしれない)


その結果
この時間軸のトリニティによる歴史の干渉はなくなり、
ボクはあの予言どうりに「仲間」の裏切りに合い封印される。


そしてまたトリニティの歩んできた未来にと時間は流れ、
その時間軸のトリニティが過去にむかって、今僕らが辿っている時間軸へと時間が流れる。


そう、結局、トリニティの来た世界も今新しい流れにのった未来の世界も
交互に流れ続ける事になる。










それなら まだ本当に決着は付いていない。
まだ、時間軸の半分しか サバタを救えてはいないもの








だから、トリニティの未来世紀にいこうと決めた。
サバタには内緒で、おてんこ様とトリニティの3人で。












































トリニティの時代は ボクの時代からいったいどれだけの月日が流れていたんだろうか。








サバタは  
今も ずっと     ボクを待ってる

自分自身が手にかけた、この世界にはもうどこにもいないボクを








だからココにきた。この世界のボクのかわりに。

















「こ…この破壊の王であるこの私が…!!
こんな…すでに存在していないはずの太陽に…!!」






その人形使いは狼狽していた。


無理もない。
本当なら遥か昔にその姿を消した太陽の力。
その力を凝縮したような塊が今、目の前に存在している。


その力によって、この地上のアンドットたちはすでに
殆どが消滅─浄化─されていた。



─正直、ボクの世界のアンデットのほうが何倍も強い。─
そうジャンゴは感じていた。


安定された環境に慣れていけば
─退化─どんどん力は衰えていってしまう。




そう、この世界のアンデットは本当に脆かった。
おそらく「太陽」が己の存在を消滅─浄化─するモノすら分からなかったのだろう。






それほど一瞬、ソルジャンゴにトランスした光だけで
地上のアンデットたちの殆どは姿を消した。






「覚えてないよね、ずーっと昔に、ボクはあなたの罠にかかって、
あの牢獄に埋葬されていたんだから」


「…この…!」

鞭を構える。だがそれより先にジャンゴは動く


ソルフレア


それだけで十分だった。



直接たたきこまれた太陽の力によって
ラタトスクは膝をつき、





「お前は…まさか…太陽ショ…ウ…」
それがラタトスクの最期の言葉。



その人形遣いは塵となり、風に吹かれて拡散していった。






「…パイルドライバーの必要もないぐらい、
光に弱くなっちゃってるんだね。この世界のイモータルも…」

「人間の拡散を止めるために発生した存在だ。
この世界ではもうほとんどにその役目は終えている…さあ、」






いこう、この奥にある魔方陣で
ずっとずっと、まっている 「家族」のところへ。











































破壊の獣の胎動が激しくなってきている。
人形遣いの支配下から解放され、
その溢れてくる破壊衝動をもてあましているように。















駄目だと思った。





まだ、助けられるかもしれないと思ってた。

でも、その獣の中枢をみた瞬間に絶望が体中をかける。


年月というのもはそこまで、甘くはないとそこで気付かされた。

絶対存在というのはあくまでヴァナルカント本体であって。

ムリヤリ成長を止められているといっても、年月というものはやっぱり蓄積されていて




「ジャンゴ?!」おてんこ様がボクを止めようとした声が聞こえたような気がした。




それでもボクは止められない。

ダークにトランスし、羽を広げ、迫り来る両腕をかわしながら一気にその中枢へしがみつき、

爪を立て獣の腹部からその人をえぐり出す。








かなり乱暴だったと思う
ヴァナルカントも
激しく暴れ周っている。








その場からその人を抱きかかえながら
すぐに離れ滑空しながらヴァナルカントの距離をとる。










ごめん ごめんね



変わり果てたその人を抱きしめる。


その姿はもう変わり果ててしまっていて
あの綺麗な紫の髪も殆ど抜け落ちていて
あの人形の様な白い綺麗な肌も黒ずんてて、
下半身は完全に吸収されてヴァナルと一体になっていて

もう、ほとんど骨と皮だけになって、
それでもまだ生きている─生かされている─その人を






それも絶対存在の欠片を埋め込まれていたから何とか生きてきた。

それが切り離された今の状態では、もう数分も生きてはいないだろう。

かろうじて呼吸をしているのがまだ生きている証

でもそれも段々と弱くなっているのが分かる。


「サバタ…サバタ?!」


悲鳴に近い声でサバタを呼ぶ。そのとき、
それまでほとんど無反応だったヒトがコッチに目線だけを向けた。


「…懐かしい…響き…だな。
…たしか…それ…は、俺の、名…だった…か。」

それは本当に小さくて、掠れてて、集中しないと聞き逃してしまうほどの声。


それを聴いた瞬間ジャンゴは本当に叫びそうになった。
こんなになるまでずっと待っていたのに、


なのにボクはここにたどり着けなかった。



「…ゴメンね、物凄く、待たせちゃった。」
何か口にしようとするたびにボロボロと涙が出てくる。
その涙はサバタの頬にポトポト流れ落ちていった。


「……ジャン…ゴ…?」
その人はやっとボクが誰なのか思い出したようで、


「フン…待たされるのは、慣れている。
……何時も約束の…時間、に、遅れる…奴だった…ろう?」



あの何時も見せる
少し皮肉で、
でも、

どこか嬉しそうな笑みを見せてくれた。





だがのんびりとしている余裕はなかった。
ヴァナルカントは核であるサバタを取り戻そうと
二つの腕が凄い勢いでコッチに向ってくる。





迫り来る二つの腕をサバタを抱えながら必死でかわす。
「ジャンゴ…この…姿…ダークの…まま…」
「?!」

「ヴァナルガント…から…ダークマターを吸い出して…そうすれば…」
最期…に…俺、が…月光仔の…血…この…獣を…封印する…」


そう、そのために、ジャンゴを待っていた。
二人じゃないと、この獣は止められないから

そのために、ずっとずっと、ボクをまってくれていた。
















黒ジャンゴが牙を突きたて、ヴァナルからダークマターを吸い出していく。


同時にサバタのなかで繋がっているヴァナルカンドの支配の力が段々弱くなっていく。

同時に本来の繋がりを
太陽と月の繋がりを
双子だった弟との繋がりを


そして月光仔としての力
破壊の獣を封印する事の出来る月光仔としての力を


取り戻していくのを感じる。


そうだ
俺とコイツはまだ
繋がっている。





数十年の年月なんて全く関係ないぐらいに



草と大地のように

風と雲のように

太陽と月のように


繋がっていた。
それが嬉しい。







月光仔の力を発動しようとするけれど
腕を上げることすらも苦しくて。
そんなサバタの腕をジャンゴが支える



「…ボクが支えてあげる。ボクの中に流れる血も使って。」
「…フン…」


サバタの月の力は4つの楔を生み出して。
破壊の獣に突き刺さる。




一つは白き骸の手に
一つは黒き骸の手に
一つは核のあった腹部に
一つは頭部の眼球にと






破壊の獣の雄叫びが当たり一面にこだまする。


必死にもがくがその楔は深く深く突き刺さり
そこから月の力がながれ破壊の獣の意識を封じ込める。












サバタは分かっていた。





今、自分を支えてくれているジャンゴは

別の世界からきた弟で

本当の、本来この世界にいるはずの弟は



やっぱり、あの時自分が殺してしまってて、







それでも 本当に嬉しかった


本当は別の次元の、全く関係ない世界から、


それでも


自分に逢いに来てくれた事










自分を支えてくれる手から伝わってくるその体温が
かつての記憶を蘇らせる。




あの出会いの丘の再開


影の一族との戦い。


もうおぼろげな、でもあの時、暖かいと感じた太陽の街


あの闇の中で、自分をずっと支えてくれた少女。


そして恐いほど愛しいと感じた「家族」の思い出。









そして自分は愛されてきた事を。








もう、出会えないはずの二人が出会えた。

最期の最期の瞬間に





未来永劫続くとおもったこの狂気の中から、抜け出したと思った。








サバタの力によって
楔により破壊の獣は再び封印され、月は静寂を取り戻す。




これが最期の後始末。




この世界を、この月から見えるあの星を

あの青い星を、
黒く染めた自分はやはり罪人だ


だから
ここで永久に生きながらえるのか
戦場の中、たった独りで死んでいくか


それが罰であって当然だと思っていた


…思っていたのに


こうやって、
誰かの腕の中で
満たされながら、
静かに終わらせる事ができるなんて

「…疲れ…た。少し…眠…る。」

「…うん、…お休み。…ねえサバタ。」

「…なんだ…?」


「大好きだよ」
「…フン。」


穏やかにまぶたを閉じたその少年は、
二度と目を開けることはなかった。








この日、この世界に月光仔という種は完全に絶滅した。


























































































































月が綺麗だった。
今、この世界に浮かんでるものは
漆黒の太陽でも、月でもなく


ボク達が来た世界と同じ 穏やかで優しい 淡い光を放つ月。




「ヘヘ、オイラの世界にも、お前らと同じ色の月が戻ってきたな。」

トリニティは、
そして、この世界の人たちは、
今、この月をどんな思いで見ているんだろうか












「トリニティ…」
「な、なんだよ…;」



「本当に……ボク達の時代に来てくれて 有り難う…。
ボク…も、サバタも…、お前がきてくれたから…。」


「…お、おい、泣くなよ、たいした事してねえよ、オイラは;
……これで、よかったのかな、なんだか…救われなかった…気がすんだけれどさ。
こんな終わり方しかできなかったと思うんだけれどよ…。」



「…ジャンゴ、トリニティ。」
それまでじっと聞いていたおてんこ様がそっと語りかけた。

「これから、この、お前の過ごしてきた世界も、光のある、明日にむかって動き始める。
ラタトスクの残した傷跡は本当に深い。
おそらく完全に癒えるのはこれから更に遥か先だろう。

だが、今日、再び希望にむかって、ヒトは第一歩をふみだしたのだ。」


「今は、それを喜ぼう。」



「さあ、帰ろう、私たちは私たちの時代に、トリニティ、お前はどうする?」

「ん〜…オイラは…どうしようかな、もうちょっとお前らの時代にいてやってもいいぜ?」

「…フフ、素直ではないな、よし、いい機会だ、あっちで私が直々に鍛えてやろう。」

「ウゲ?!い、い、いや、オイラは別に;」

「なにをいっている?!これからはお前がこの世界の新しい戦士として
見守っていかねばいけないのだぞ?
これ以上、この時間軸に存在しない私達が干渉するのもいろいろ問題があるしな」

「うう…;いや、やっぱりオイラなんかよりも『伝説の戦士』様の方がー…」

「なにいってんだよトリニティ、お前だって「伝説の戦士」なんだろ?」

「う;」



おてんこ様とトリニティが何時もみたいに漫才をするのをみながら
…その墓から立ち去ろうと後ろ髪をひかれるように踵を返した瞬間



───…オカエリ。ムカエニイケナクテ ゴメンネ?───


「……?!」



それは幻聴だったのだろうか。


それは声というよりも音だったような気がした。



───…先ニイッテイレバイイモノヲ、本当ニオセッカイメ───


───ボクダケジャナイヨ、    アノコモマッテル。───



バッとはじかれたように墓石に振り返る。

墓の遥か上空で
上昇し続ける二つの光の玉が見えた。


その二つの光の玉は

互いにクルクルと円を描くように
天へと駆け昇っていった。



「…………。」




それをみたらぼろぼろ涙が出てきて






早く帰りたい。
サバタに あいたい。
























「どこにいっていた?」


ホームに戻ってきたボクを
とかく不機嫌そうにボクを出迎えてくれたサバタ。

次の瞬間、ボクの顔を見てぎょっとして
「…何があった?」どこか心配の色を見せてくれたサバタ。






次の瞬間。
ボクは大声で泣きながらサバタにしがみついた。


「ジャンゴ…?」
「サバタ…サバタぁ…!!」


{?、おい、鍋、おてんこ、一体何があった?」

「…サバタ、おめえって幸せもんだよな?」

「…うむ、全くだ。」

「…?」





今、君がボクの隣にいてくれることが

まだ、君と一緒に生きていけることが





それがこんなにも嬉しいよ。




─終。─





あとがき 久しぶりに短編小説1本かきました。ふいー; えと、今回ジャンゴ達の未来が変わったけれど それは絶対トリニティの未来がなくなったというわけじゃないとおもうんですよ。 最初にもかいてあったけれど鍋のたどった時間軸はやっぱり消滅するわけじゃなくて そこを分岐に二つの未来に分かれただけだと思います。 (やっぱりどんなヒドイ未来でもそのなかで一生懸命 生きてきた鍋や鍋のお母さんの思いも なかったことになるのはヤです。(汗)) それなら分岐して分かれた未来で幸せになったけれど鍋がやってきたもう一つの時間軸じゃ やっぱりラタさんの支配は続いていて、 サバタはずーっとヴァナルカントの中で永遠にジャンゴを待ち続けているわけですよ。 だけどそれは本当ならもう関係ない時間軸なんですね。 だってサバタは実際に側にいて、もう一つの時間軸の事は関係ないいわば「パラレルワールド」なんですから。 でも、その事を知ったらジャンゴはどうするかなと思うと「その時間軸にも行く」と言い出す子だと思うんですよね。 その時間軸で自分ができなかった事を代わりにしにいくと。 見捨てられるはずの時間軸で、 アカシックレコードからはじき出されるはずの世界、時間を そしてサバタを救うような子であって欲しいとおもいます。ジャンゴは。