cast:ジャンゴ 天窓


光のささないダンジョンの中 いったいどれだけ長い間進み戦い走り続けたんだろう。 今じゃ立って歩く事もやっとなくらい疲労がたまってて 太陽銃のバッテリーも底を付いていて、 次にまたアンデットの群れと遭遇したら正直無事に生還できるかどうか分からない状況。 アンデットダンジョンの攻略はいつも想像以上の体力と、そして精神力を使う。 入り口から漏れる光がドンドンと小さくなっていくたびに、 もう二度と、その光を見る事はないんじゃないんだろうかと いつも  少し恐くなる。 延々と続く暗闇の中を走る その間に自分の五感に入ってくるのは、アンデットのギラギラと紅く鈍く光る目と、不快な鳴き声 本当はその音も聞きたくはないしあの赤く鈍く光る眼光も見たくはないのだけれど 目を閉じてしまえば、耳を防いでしまえば自分はやられてしまうから だから一つも見逃さない。聞き漏らさないで銃を向ける そんなやりとりをしていくたびにいつも思う 拷問のようだ、と だから その闇の中にふっと、光が差すと一瞬戸惑ってしまうんだ。 「天窓だ…。」 ふらふらな足を止め上を見上げる。 天井は見えないけれど遥か上から真っ直ぐに光が差している。 天窓というよりも光の柱みたいで 「よかった…ちょっと、此処で休憩…。」 安堵しながらドサっとそのまま天窓の下に倒れこんだ。 両足が凄く痛い。しばらくは立つ気力もない でもアンデッドたちは陽光をひどく嫌うからここには近寄りはしないだろう 暗闇に慣れてしまった今は天窓の光は少しまぶしくて、目が痛い それでも天井からもれる光が、久しぶりに戻ってくる色彩がとても嬉しい 今まで麻痺してた感覚とか思考とか感情とかがゆっくりととけてあふれ出してくる 光が暖かい それが嬉しい 地面に耳をつけると水の音が聞こえる 下は水脈が通っているんだろうか そこで 「あ。」 地面に小さな芽が生えているのにやっと気が付いた。 「よ、よかった;寝転がる時に潰さなくて;」 天窓の入り口─地面の割れ目からナニかの種が落ちてきてここで育っているんだろう 光もこの天窓から、 水も地面の下の水脈から根をはって少しずつ成長していっているんだろう こんな深い深い闇の中でも 確かに命が息づいているんだと どうやら生き物というのは 決して強くはないけれど そんなに脆くもないらしい。

なんだか胸の奥が熱くなってきたので あくびでごまかした。 それでもすこし泣いてしまったのが少し恥ずかしいけれど 「あーあ…おてんこ様も一緒に来てくれればいいのにさ…。」 とりとめもなくどうしようもない事をぼやきながら、 今はこの暖かい光のしたで。身体を休めよう。 次に目を覚ます時は、ちゃんと歩けるぐらいに体力が回復してればいいなと思いながら。 しばしの眠りに入る。 陽光の光を毛布の代わりに 水の音を子守唄にして あとがき :久しぶりに簡単に文をつけました。 自分過去一回洞窟の中探検したことがあるんですが、入り口ちかくまでしかうろうろ出来ませんでした。 一生出られないんじゃないかて恐怖感の法が凄まじかったです。 天窓はエナジーだけじゃなく精神安定にも一役買ってそうです。