砂漠に近い場所にあるこの廃れた遺跡。
そこであるヴァンパイアとであった。

そう、本来太陽少年が所持していないといけないはずの、太陽銃を構えて。

激戦の跡。もともとヒビが走っていた壁は弾により止めをさされ崩れ落ち、
もはや壁としての役割を果たしてはいなかった。


膝をつき(不本意ではあるがつくしかないほど困憊している)壁に背をつけてしばしの休息。
内心は穏やかでなく。
思考の隅からドロドロと黒い思考が流れ込んでくるのを無視しながら。




こうやって深手を負うのは、ずいぶんと久しぶりだ。



強いと、認めざる負えなかった。
今、こうして自分が無事(これが無事といえる状態なのかは甚だ疑わしいが)
であることが不思議であるぐらいに。





一体俺の知らないところで何があったのか、
不可解な事ばかりだ。



あのヴァンパイアは一体何者なのか、


なぜあのヴァンパイアは、
最後の最後で、
俺を前に背をむけ、走り去っていったのか。






いろいろ疑問に残ることはあるのだが
今、一番不可解で、答えを出さねばいけない事は、







なぜアイツの銃を持っていたのか。









そうだ、きっとまた大ポカをやらかして、
父親の形見である太陽銃をあのヴァンパイアに奪われただけだ。
きっと今頃血眼で探しているに違い、あのバカめ。



「大丈夫だ、アイツはそう簡単に倒れるやつじゃない。」
俺はよく知っている。あの死の都で確かに見てきた。

アイツの底に眠っていた生命力の強さを
そう、自分が見て感じ、そうだと信じた。







大丈夫だ。
簡単にくたばる奴じゃない。






─それはまるで自分に言い聞かせるかのように─








































バタバタと遠くから何かがやってくる音が聞こえ、
瞬間、暗黒銃を構える手がピクンと動く。


そのままゆっくりを銃を持つ腕をあげ、この部屋の入り口へと標準をあわせる。



そしてその腕は
「だから絶対にこっちの方向はまだ足運んでいないって!」
「そう走りながらこっちを向くな!いきなりアンデッドが前から現われたら対処できないだろう!」
再び脱力し、がくんと下に落ちていった。





認めようではないか、確かに俺はアイツを心配した。
だからこそ今、心の底で安堵した、
そして、同時にこのおなじく心の底から沸々と湧き出る怒りもまごう事なき物。


俺に気付いて単純に再会を喜ぶその眩しい笑顔は、だがしかし次の瞬間に、
俺の拳により、上へ高く高く打ち上げられた。